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スターウォーズに見る組織の在り方

スターウォーズ スカイウォーカー・サーガの完結編、「スカイウォーカーの夜明け」を見てきました。主人公のレイの、自らの在り方を受容・確信した姿を表現したエンディングにジーンとなりました。

さて、スターウォーズ。非常にわかりやすく多くの二項対立で表現された物語ですよね。「光と闇」「権力と自由」「集団と個人」「同質性と多様性」など。

帝国軍とレジスタンスの組織の描き方には、日常でもよく見かける組織の在り方の2類型が表現されています。

以下 帝国軍 ⇔ レジスタンス で列挙してみると、

完全に統一された制服・兵装 ⇔ かなりバラバラ
機能的に設計された基地 ⇔ 雑然とモノが置かれたアジト
無機質な構造物 ⇔ 自然の中
顔・個性が見えない兵士 ⇔ 種族も性別も個性も多様な兵士
1人のカリスマの圧倒的権力 ⇔ 衆議を経てトップが決める
完全なトップダウン ⇔ 現場の判断優先
統一された行動 ⇔ かなり個人判断の行動
感情の見えない行動 ⇔ 感情豊かな行動
飴と鞭によるマネジメント ⇔ 目的と関係性によるマネジメント

などなど。 物語で描かれる善悪的な要素を排してみれば、どちらの組織が良いか?は事業環境や立ち位置・目的などによるもので、一概にどっちが良い悪いとは言えないですよね。
私なんかも、帝国軍のあの統一された美しさにはなぜか「かっこいいなー」と感じてしまう自分もいます。

組織論的に見れば、パワー・リソースを集約して量の拡大再生産が価値を生む際には、帝国軍的な組織の方がより機能します。実際、この数十年の組織の在り方は帝国軍に近いものが中心だったと思います。それは、みなが同じ場所に集い、同じような制服・スーツを着て、無機質で効率優先な職場で、といった現実に表現されています。個性や感情を排し、規律と報酬によって行動を一律に集中させていく方が、速く・一定の成果を生みやすい局面ではこの型の組織の方が効果的です。組織に所属する個人の視点でも、そうやってみんなで生み出した成果の分け前、報酬や安定的な役割や社名・ブランドへの満足など、が十分であれば幸せである側面もおおいにあります。
ただし、この帝国軍的組織を突き詰めると個性や感情が排除され、主体性が減衰する方向に力が働くというのが悩ましい点です。(スターウォーズでは、ストームトルーパーが象徴的)なぜ悩ましいかと言えば、外部環境の変化に対する機敏性や柔軟性といった力がダウンするからです。外部環境が、多様かつ変動性、不確実性が高くなってくると、帝国軍的強味が弱みに転じていくからです。
ちなみに、帝国軍的な組織に所属する個人は、職場で個性や感情や主体性の発揮余地が得られないと、それらをプライベートな時間で埋めようとします。結果、仕事とプライベートを明確に切り分けるという価値観・行動が生まれます。職場=ワークで感情的な満足が得にくいことの裏返しがワークライフバランスという考え方の盛り上がりに表現されているのではないでしょうか?

さて、最近徐々にレジスタンス的組織や働き方に注目が集まりつつあります。
一律の制服やスーツ姿はオフィスにおいては減ってきていますし、サテライトオフィスやリモートワークなど働く場所も時間も選択的になってきています。
オフィス環境もGAFAやベンチャーのオフィスに象徴されるように、余白やアートを取り入れた空間も増えてきています。
起業はしやすくなり、フリーランスで活動する人や複業する人も増えてきています。
ベンチャーやフリーランスといった人が繋がりあってプロジェクトやコミュニティを作ることも増えてきています。

外部環境の多様性・変動性・不確実性の増大と情報流通手段の多様性・簡便性の向上が重なって、組織やチームも流動性が高まる方向で動いていっているように見えます。

そんな環境の中で、組織やチームのメンバーが「その一員として、共に同じ目的を目指」し、主体的に「つながり続ける」状態を生むために、メンバーの結節点となるマネジメントチームに求められるリーダーシップやマネジメントの在り方・スキルも変化してきています。

より個性の多様性を活かし、主体的エネルギーを引き出し、同じ目的に向けてベクトルを作っていく視点や技術は、従来の帝国軍的組織でのマネジメントを受けた体験「しか」ない人にとっては「未体験のマネジメント」です。「未体験」だからこそ、簡単には行動を変えられない。でも、現在マネジメントを担っている人がその「未体験のマネジメント」にチャレンジしないことには、その後に続く後輩メンバーたちも変わっていきません。
ひとマネスキルトレーニングの場は、この「未体験のマネジメント」を「体系的に現場での実践を通じて体験・チャレンジする」ための機会です。

『一番の変化は、面談というもの自体の捉え方の変化です。面談は上司が部下へ伝えたいことや指示を伝える場だと思っていましたが、部下の想いや考えを引き出して、それを知る場でもある、ということに気づいた点です。加えて、中間管理職の立場でもある私からすると、上司に、こうした本来の“コーチング”という構図で接してもらったことがないことにも気づきました。想いや考えを尊重されるような接し方をされてこなかったことで、私たちもそのような部下への接し方しか知らず、ただ踏襲され続けている組織であることに気づきました。私はあくまで、部下や後輩の声を『聴く』という姿勢でいられる人でいます。』

「未体験のマネジメント」にチャレンジしたマネージャーはこう言いました。
ここから後に続くメンバーは、これまでのその組織にはなかった「マネジメントをされる体験」をするのだと思います。