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デービッド・コルブの経験学習モデル

「学習」ってなんでしょうか?

研究者によって様々な整理がされていますが、私なりにざっくり大きく分けると、

①「知らなかったことを新たに知ることによって、現在・未来の問題を乗り越えるための対処を準備すること」と

②「経験による成功・失敗要因を振り返り、現在・未来の問題により良く対処する再現性を高めること」に分かれるように思います。

学校教育では①の比重が高く、家庭教育では②の比重が高くなってますよね。
社会人になってからは、OJTによる②の比重が高く、研修などのオフサイト学習では①の比重が高くなっています。

どちらが良いか悪いかではなく、獲得すべき新たな対処能力の種類によって学習の仕方も変わるべきという話だと思います。

デービッド・コルブは②について以下のサイクルが回ることで学習成果が向上をしていくことをモデルとして整理しました。

具体的経験を、内省的に振り返り(リフレクションとも言います)、その中で「こうこうこうだったからうまくいった(いかなかった)のではないか?」と「成功・失敗法則」の「気づき」を自ら概念化し、さらに次の機会でその気づきを実験的に試してみる、そんなサイクルですね。

さて、「ひとマネ」で焦点を当てるのは「部下の主体的行動を引き出すスキル」です。 

マネージャーは、様々な力学によって「部下を動かす」ことでチームのパフォーマンスを最大化する役割ですが、その力学の中心にあるのは「コミュニケーション」です。そして、「コミュニケーション」はスポーツと同様に、「身体でやること」です。

我々は、成長過程でコミュニケーション技術を自然に身に着けます。つまり、誰もがコミュニケーション技術においては「我流」だということ。「我流」ということは、「自分にとって心地よい・やりやすい」技術が身についているということです。

無意識で、歩いたり走ったりするのと同じように身に着けてしまうので、そうなります。
でも、歩くのでも走るのでも、みなそれぞれにクセ・違いがありますよね? 
走るプロである陸上選手は、この「走る」を観察し、より良い走り方を試し、トレーニングします。

自分にとって「心地よい、やり慣れた」走り方ではなく、「より速く走るため」の走り方を、身体を使ってトレーニングするのです。決して、「本を読んで」速くなるわけじゃありません。

マネージャーが、身体活動である「コミュニケーション」を、「部下の主体的行動を引き出す」という目的に向けて磨きあげるためには、このアスリートのトレーニング方法から学ぶべきだと思います。

「我流」で身についたクセを、目的に即して修正するのは結構大変だということはスポーツをやったことのある方ならよくご存じのはず。

だから、「ひとマネ」では経験学習モデルに「学び方」を置いています。

◆実際に自分の部下を最低2名選定し、トレーニング方法に則って、その2名とのセッションを実践して頂きます。

その「経験からの気づき・悩み」を参加者で持ち寄って「リフレクション(内省的省察)」を対話形式で行います。

さらに、そこでの気づきをその場で「練習」します。
「練習」中に、修正ポイントが表れたらトレーナーがその場でフィードバックします。ゴルフのレッスンプロみたいですよね()

◆そしてまた「実践」に向かうのです。

プログラムに沿ってこれを繰り返す中で、「部下との体験」が生まれ、「スキル獲得の葛藤と成長実感」がマネージャーに生まれるのです。

難しいと感じながらも、小さな成功体験・成長実感が得られたら「嬉しくなります」。

誰にとっても成長実感って気持ちの良いものなんだなー、と参加しているマネージャーたちの表情や声を聞いていつも感じます。

そして、私も嬉しくなります()
この「嬉しかった」経験が、「もっとやってみよう!」につながる。

「ひとマネ」が参加者の「思考・行動の変化実感」に重きを置いているのは、こういった理由によります。