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リモートワークでリスク急増!若手の「早期離職」を防ぐには?②

前回は、社会環境的に「今の職場を離れるペイン<ゲイン」が進んできていること、だからこそ旧来よりも意図的に「職場のペインを低減させ」「職場に所属することでのゲインを増大させ」ることが、早期離職を防止する上で重要になっていることをお伝えしました。

今回は、さらに「職場のペイン」に焦点を当ててみたいと思います。

『退職理由のタテマエとホンネ』

以下は2019年にエン・ジャパンから発表された調査結果。

退職理由のホンネに、「職場におけるペイン」が如実に表れています。

報酬への期待値のズレ、そして人間関係がホンネの1位・2位。そして、こういったホンネこそなかなか率直には伝えられない声だということがよくわかります。

報酬に関しては、各社のビジネスモデルや事業環境にも大きく依存しますし、判断・対処において全体最適の視点も必要です。しかし、「人間関係」に関してはどんな職場・仕事においても存在するものであり、ある意味当事者ひとりひとりの行動変容によってより良い変化が可能なものです。

なのに、多くの職場で「人間関係がペイン」になっている。

これを「個々人の問題」として済ませていては、「組織としての対策」は生まれてきません。

「人間関係がペイン」となること、なりやすくなってきていることの背景にどんな構造があるのか?を紐解き、その構造への対処という視点で「組織的な対策」を考えることが重要です。ここでは特に新卒社員の早期離職を防ぎたいという視点で、「人間関係がペイン」となることの背景を探ります。

 

背景① 現在の20歳前後の人たちは、20年前の20歳前後の人たちに比べて、

    人間関係のストレスへの対処力が未熟になっている。

 

もちろん、個々をみれば一概にそうだとは言えません。

ただし、ある時代の同年代という集団でみたときに、現在の20歳前後の人たちが20年前の20歳前後の人たちに比べて、人間関係のストレスへの対処力が未成熟になってきていることは事実として表れています。

以下のデータは弊社の扱うパーソナリティ診断で、2004年~2012年にかけて実施した調査結果です。ある学校の入学者(18歳)に毎年継続的に同一の検査を実施しました。

「自己認知性」「対人関係性」「ホリスティック」というのは、持って生まれた「衝動をコントロール」する力のこと。生まれてから生活する中で、多くの葛藤経験を乗り越えることによって脳機能的に後天的に育まれる力です。

多くの成人は、経験を通じてこの力が育まれているからこそ「動物的に衝動的・反応的に行動せず、理性的に行動する」ことができるのです。

しかし、2004年~2012年にかけて、同じ18歳でも年々これらの力が低下していることがわかります。この傾向は現在に至るまで変わりません。

 

なぜこうなってきたのか?これは彼らの責任では決してありません。

社会としての「生育環境」が変化してきたからです。0歳~18歳の間に直面する「経験」が変化してきたからです。

 

特に「人間関係」について、考えてみてください。

40年前の小学生(私世代です)と10年前の小学生(現20歳世代)を比べた時に、どちらがより多様な人間・人間関係に直面してきたか?

人間関係はそもそもある種ストレスなものです。できれば、自分にとって気持ち良い相手とだけつき合える方がストレスは少ない。だからこそ、デジタルデバイス・SNSなどを活用し「つき合う相手を選べる」環境を私たちは子供たちに与えてきたのではないでしょうか?

しかし、ストレスを乗り越えることは成熟し耐性をつけることでもあります。

 

多様ないかんともしがたい人間関係に直面し葛藤する経験が過去に比べて減ってきた結果、現在の20代は過去の20代に比べて、人間関係の葛藤に対する耐性は低下しています。

それでも学生時代は「比較的つき合いたい相手とだけつき合える」ので多くの場合大きな問題は起きなかった。でも、社会人になると「つき合う相手を選べない」役割を背負うことが多くなります。

 

耐性の低い人が、いきなり「つき合う相手を選べない」役割に直面する。自分の衝動をコントロールできなくなって、反応的にその場(職場)を離れようとすることが起きやすい生育環境を、私たちが作ってきたのです。良かれと思ってですが。。。

 

さて、この現実に対して、「個々人の問題」と見過ごしていてはもはや「離職率のマネジメント」はかないません。

耐性の低い人を新たな環境に迎え入れる時、大きな拒否反応が起きないようにするには「ワクチンを打つ」必要があります。

「ワクチン」のポイントは以下となります。

①自分の快・不快感覚を自覚・受容させる体験

②自分とは異なる快・不快感覚を持った他者の存在を認める体験

③異なる快・不快感覚を持った自分と他者が相互に受容しあう体験

④異なる快・不快感覚を持った他者に心地よく関わる方法があることを知る体験

 

これらを「感覚的に」体験させ自覚させるのは抽象度が高く難しい上に「時間」がかかります。より限られた時間で「自覚のアンテナ」を立てさせるためには、「快・不快感覚の違いの可視化のフレーム」が役に立ちます。

私たちが提供する「PSAパーソナリティ診断」および「新入社員PSAファウンデーション&フォロワーシッププログラム」は、これら「可視化と体験」を詰め込んだ「ワクチン」として機能するプログラムとなっています。ご興味のある向きはぜひお問合せください。

 

次回のブログでは、さらに別の視点で「職場の人間関係のペイン」が発生しやすい背景を探求したいと思います。